今号から本誌は、住宅の作例紹介を中心にした特集と、技術的なテーマの特集による二段構えの構成になります。

近代化の過程において明るい住環境が求められるにつれ、無機質で均一な空間がつくられつつあります。しかしこのままでは日本建築がかつて持っていた陰翳の文化が喪失される可能性があります。そこで本特集では、暗さと明るさが共存する厚みをもった空間など、対比的構造をもった力強い空間を紹介します。
特集の巻頭論「余韻と沈黙」では、現代的な「和」のあり方を追及してきた建築家・出江寛が、空間の本質について論じます。続いて紹介する建築家・二井清治の住宅4軒のうち、修業時代に所属していた坂倉建築研究所の仕事として紹介する「高野街道の家」では、師匠にあたる建築家・西澤文隆の住まいのディテールへの考え方が読み取ることができます。そして近作3軒の紹介とともに空間に裏付けられた素材や寸法に迫り、陰翳空間の思想とディテールの関係を考察します。
他にも若手建築家の作品を取り上げたり、香山寿夫、堀部安嗣の両氏によるコラムを紹介したりと、充実した内容になっています。

本シリーズは、身近にある技術の見方を変えることで可能性を広げようという意欲的かつ実用的な企画です。今回は、その第一弾。
2000年に建築基準法の防火規定が性能規定化されたことにより、試験や計算により規準をクリアすれば、どのような材料、構法でも認められることになり、木造建築の可能性が大きく広がりました。そこで、様々な実例を取り上げながら、木造による防耐火建築の考え方と、その実践について詳しく解説します。

特集1「対比の構造・陰翳の空間>より。「桜塚の家」(設計=二井清治建築研究所、写真=松村芳治)
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